私のキャリアは人事部が一番長いのです。
医療機関では3年位、IT企業では27年位。職業人生のほとんどを人事部で過ごしてきました。
私の業務は人事の中でも労務。給与計算や社会保険、入社退職のレクチャ、採用、そして健康診断や出張手配、社宅の管理。かなり幅広い仕事を担っていました。 でもこれが面白い! 会社の中の「ゆりかごから墓場まで」みたいな仕事ですよね。
最初異動したばかりのときは 本当に大変でした! 何せ給与計算なんて全くしたことがなく、何しろ教えてくれる人もいない!!(担当は一人。前任者が急遽退職してしまったため)
自分の給与明細も振込額しか見たことがなく、それ以外には全く興味もなかった こんな私ができるのだろうか。。。不安たっぷりでした。
給与計算はタイムカードから勤怠管理表に落とし込み、正しい社会保険料、労働保険料、所得税を天引き・・・ 何もわからず 最初は社労士事務所や税務署、年金事務所(そのころは社会保険事務所でした)に出向いては 細かい作業の仕方を教えてもらった。 少しも嫌な顔をせずに教えてくださった役所の皆さんには感謝です!
そうしてやっと1年の行事を終わらせて やっと一連の仕事を完了。
そう、労務の仕事って 1年でやっと1つの経験ができるのです。
年1回しかやらない大事な作業もあるからなのです。
でもこれだけ苦労して仕事を覚えたこともあり、私は人事労務の仕事が大好きで大得意になりました。その後長時間労働や過労死などで労働問題が多くなってきたIT企業の人事労務に転職し、スキルアップに挑みました。
IT企業では一人ぼっちの部署ではなく、ほかにもメンバーがいました。ところが・・担当は以前同様 幅広いものでした。でも好きな仕事だから楽しい!
何故人事労務の仕事が楽しいと思ったのだろう・・・
人事労務の仕事は ほとんど事務仕事。公的な書類を書いて提出。給与計算に必要な情報をパソコンに打ち込んで確実な処理をする。一つ間違えれば 会社にも社員にも迷惑をかける。絶対ミスはできない。ミスはその後の私への信頼感も失うことになる。私への不信感は イコール 人事部への不信感になってしまう・・・ とても重要な任務。
その緊張感の中での仕事はとても面白い。身が引き締まる感じ。
でもそれ以上に 何が楽しかったのかと言えば、 やはり
やっている仕事の後ろに 社員の顔が見えるから です。
そう、すべての仕事って 人のためにあるものなのですね。
接客業やモノづくりだけでなく 人事や労務の仕事の先にも 「人」がいます。私たち人事にとっては 自分の会社の社員がお客様なのですね。
といっても 別に社員からお金をもらっているわけではありませんが、社員のために間違いなく仕事をすること、彼らがそれぞれの担務に専念できる環境を作るために バックヤードの仕事を一手に引き受けてあげる、これが人事労務の仕事なんです。 どうやら私はこういう仕事が好きみたい。
ということに気づいたのです。
私にやりがいと楽しさをもたらすもの = 人の裏方で役に立つこと
裏方といっても決して裏で終わるわけではありません。トラブルが起こった時でも 普段からきちんと仕事をしていることで「ありがとう。助かった」という声をもらうこともしばしば。
ここに気が付けたことは 私にとって大きな転機になりました。
たまに見かけるのは 人事は人の評価をしたり、採用をする部署。それをはき違えて 自分が人を採用し評価している神!みたいな気持ちになってしまっている人。 私は人事病と呼んでます。こうなってはいけないな、と反面教師にすることにしています。
あくまで仕事は 自分が担っただけのもの。勘違いしてはいけませんね。
そして私はここから ある1人の社員がきっかけでメンタルヘルス教育をはじめたのですが、これはまた別の機会に・・・